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北谷 尚大 氏 by 北谷 尚大 氏 | 11月 17, 2021

北谷 尚大氏のキャリアとバックグラウンドについて

北谷 尚大氏は、インクリメントP株式会社マップソリューション本部 第一戦略部 トリマ事業グループに所属しています。
2003年にインクリメントP株式会社に新卒入社後、カーナビゲーションで利用するイラストの制作ディレクションに携わったのち、位置情報を使ったカジュアルゲームアプリをはじめ、いくつかの新規事業を経験しました。
2019年からはポイ活アプリ「トリマ」の運営に従事し、同アプリのマーケティング施策、プロモーション戦略立案ならびに、カスタマーサポートや外部折衝など、事業の運営全般を担っています。

北谷氏のインタビュー記事については、こちらをご覧ください。

インクリメントP社について

インクリメントP社は、地図検索サイト「MapFan」の運営をはじめ、地図サービスやカーナビゲーションシステムを開発する事業者に向けて、デジタル地図データの提供を行っています。

近年では位置情報を用いた様々な事業創出に取り組んでおり、その中の1つとして、毎日の移動でマイル(=ポイント)が貯まるポイ活アプリ「トリマ」を2020年10月より運営しています。トリマは現在、500万ダウンロードを誇るポイ活アプリとして成長を続けており、今年の10月には店舗向け広告配信サービス「トリマクーポン」の提供を開始するなど、ポイ活を軸としたメディアとしてのプレゼンスも高めています。

1. 世の中にあるものプラスワンの視点で、新たなユーザー価値を生み出す

新規事業の立案においては、“既に世の中にある何か、プラスワン”の視点がとても重要であると考えています。

トリマを開発するにあたって着目したのは、古くから国内に浸透しているポイント文化です。
日本では、ポイントカード、ポイントサイトをはじめとした、今で言う、いわゆる「ポイ活」の地盤が既に存在していた一方、それらの多くはWebベースのサービスがメインであり、スマホに特化したものが非常に少ない状況でした。
我々は、主力事業である地図事業のノウハウや自社が持つリソースを掛け合わせて、モバイルを起点とした新たな「ポイ活体験」を目指しました。

アプリ運営の主目的を地図データ収集としていることで実現したポイント還元率の高さや、他に類を見ないほど手軽なユーザー体験が実現したことで、もともと「ポイ活」への興味関心が高いF1層(20歳から34歳までの女性)をはじめ、歩くことで健康維持を目指すシニア層、長距離移動の多いトラックドライバーなど、幅広い層のユーザー獲得にもつながっています。

2. 利用意欲を高めるユーザー体験を提供し、接触回数を増やす

メディアとしての成功を目指す上では、いかにユーザーのアプリ接触回数を増加させるか、また、そのためのユーザー体験をしっかりと設計することがキーとなります。

ユーザーの移動データの収集効率化を目的に運営しているトリマでは、その特性上、DAUおよびMAU、すなわちユーザーがアプリを起動する頻度を高めること最重要指標として設定しています。 そしてそのために、ポイ活アプリの継続的利用の上で重要になる「ポイント獲得効率」の向上を目指した設計としました。

具体的には、お出かけや通勤・通学といった毎日の移動だけで、手軽にマイルが貯まる=お小遣いが稼げるといったユーザー体験を提供しています。また、それらに加えて、メディアとしての価値にも重きを置いて運営を行っています。
この手軽さは、アンケート回答等のアクションや、それらに係る時間が必要となる他のポイ活アプリとの大きな差別化ポイントともなっており、リテンション率を見た場合、1ヶ月後で約50%、6ヶ月後でも約40%と、非常に高い数値となっています。

3. オーガニックユーザーを獲得するサイクルを設計する

プロモーション予算が限られる新規事業では、魅力的なユーザー体験を提供することはもちろん、いかにオーガニックでの獲得を伸ばしてしていくかといった視点と、そのための仕組みづくりが大切です。

トリマでは、アプリ内から友達にアプリを紹介することでボーナスマイルが得られる機能のほか、誰かに自慢したくなるアイテムが手に入る「ガチャ要素」を組み入れ、ガチャのリザルト画面の中にSNSシェアの機能を組み込みました。
このことにより、シェア数が大幅に増加し、投稿を目にしたユーザーのうち数%がインストールを行うサイクルが実現し、主にTwitterでの口コミを通じてユーザー数が大幅に拡大しました。

これは、現在のユーザー数を実現した最も大きな勝因であると考えています。
加えて、あくまで自然発生的な要因ではあるものの、トリマのローンチ直後にテレビ番組等で「ポイ活」をテーマにした番組や特集が数多く組まれたことにより、アプリストアでの検索が増加し、ASOを通じたオーガニック流入を後押しする要因になったと感じています。

まとめ

いわゆる新規事業というと、「ゼロから何かを作る」イメージが強く、アイデア創出やビジネスモデルの構築、社内リソースの確保、社内承認といった面において、多くの苦労があるという印象が強いかもしれません。

しかし、世界ならびに国内に幅広く目を向ければ、他社が既に成功しているビジネスモデルが数多く存在します。
「0」から「1」を生み出すのはとても大変ですが、既に存在するサービスや概念を組み合わせることにより、「1」から「10」、あるいは「10」から「100」を作り出すことが可能となり、新しい事業を創出できます。

もちろん綿密な情報収集や検証は欠かませんが、先行他社のビジネスモデルをうまく流用したり、きちんと仕組みを学んだ上で、自社の既存事業との親和性を見つけたり、それらにプラスワンの付加価値をつけるといった視点で持って取り組めば、成功確率を高めることができると考えています。