よりリテンション関連データ提供
マーケティングの諸条件の重なりに備える
ユーザー獲得のコストの小幅増と2ケタ台のコンバージョン率を踏まえると、ファネルの初期の段階で ユーザーをしっかりと掴む必要があると考えられます。特にゲームのサブカテゴリで夢中になるようなコアのループがあれば、ユーザーは積極的に課金してプレイを続けます
競争は激化も、夏は成果が出しやすい傾向
7~9月の夏の期間中にユーザー獲得に注力する戦略が成果につながる傾向があります。インストールからアプリ内課金までのコンバージョン率が各四半期では2番目に高く(16%)、アプリ内課金の新規ユーザー獲得コストが 27.09 ドルと低い水準になっています。
成熟市場で保守的に機会を伺うだけでなく、APACと欧州で新たなチャンスを探るべき
北米はおそらくモバイルゲームアプリ市場が力強く成長した代表的な例かもしれませんが、一方でデータによると、大きな可能性を秘めていながらもコストがそれほどの規模にならない国がいくつかあります。 特にロシアは、カジュアルゲームやソーシャルカジノゲームのカテゴリの CPI(インストール単価)が割安で、インストールから登録までのコンバージョン率が高くなっています。日本の傾向も注目に値し、 カジュアルゲームの需要やコミットメントが高く、ハイパーカジュアルゲームへの需要も良好です。最後に、ドイツと英国を筆頭としてEMEA では、ミッドコアや戦略系のゲームが低コストで良好なリテンション率が得られています。
ソーシャルカジノゲーム、ハイパーカジュアルゲームの人気は根強い
1日目のリテンション率はソーシャルカジノゲーム(32.2%)とハイパーカジュアルゲーム(32.7%)が最も高くなっていますが、30日目まで勢いが続いているのはソーシャルカジノゲームです。ただ、3つのサブカテゴリ(カジュアル、ハイパーカジュアル、ミッドコアと戦略系)のリテンション率は7日目と14日目で差が縮まります。これらのゲームのオーディエンスのエンゲージメントはそれぞれ同等と考えられ、おそらく、ゲームプレイを喚起するキャンペーンやメッセージへの反応も同じくらいと考えられます。
単純なゲームを求める需要に応えてハイパーカジュアルゲームが爆発的な人気を博し、WeChatやFacebookなどの手軽なゲームプラ ットフォームの拡大で成長が一気に加速しています。その結果、モバイルゲームアプリの巨大市場は以前に増してさらに幅広いオーディエンスへと訴求を強めています。
見通し: ゲーム・eスポーツ・モバイルに関する市場データを提供するNewzooによると、モバイルゲームの売上高は2022年までに954億ドルに達する見通し。
オポチュニティ: NewzooとActivision Blizzardの 直近の調査 によると、2人のうち1人の割合でユーザーは7日間中にモバイルゲームを立ち上げており、ソーシャルメディアとショッピングアプリに次いで、ゲームが最もユーザーが使用する3番目のアプリとなっている。
状況: アプリ市場のデータを提供するAppAnnieによると 、モバイルゲームアプリがモバイルにおけるダウンロードの33%を、そしてモバイルでの支出の10%をそれぞれ占め、「ゲームの黄金期」にあると言えます。Google Playでは消費支出全体の74%を占め、AppleのiTunesのアプリストアではモバイルゲームがけん引役を担っています。
モバイルゲームアプリ市場の活況は続きますが、各社がその波に乗り続けられる保証はありません。文字通りこの「ゲーム」に勝ち続けるヒントとして、Liftoffの2018年6月~2019年5月のデータを基にまとめた2019年モバイルゲームアプリレポートがお役に立てれば幸いです。一方でマーケターにとっては、ファネルの先に成長を広げ、リテンションのターゲットや指標を特定するためのデータが必要と考えられます。Liftoffはモバイル関連のマーケティングと分析でグローバルに展開する AppsFlyerと協力し、同社の6,500タイトルのアプリと9億5,000万件のインストール件数に基づくリテンションデータ分析(1日目、3日目、7日目、14日目、30日目)を本レポートに盛り込みました。
レポートの概要は次のようなものです。
主要なエンゲージメント行動と傾向を掘り下げ、プラットフォーム((Android、iOS)のパフォーマンスを カレンダー暦に基づいて比較します。
地域別(北米、EMEA、APAC、LATAM)の分析に基づき、注目の国やトレンドを示します。
主要な4つのゲームアプリのサブカテゴリ(ミッドコア&戦略系、カジュアル、ハイパーカジュアル、ソーシャルカジノ)についてより詳しい分析をお届けします。
また、Liftoffはアプリのユーザー獲得コストやコンバージョン率の世界的なデータをアプリパブリッシャーやデベロッパーに提供する Apptopiaと協力し、ゲームアプリの各サブカテゴリのダウンロード件数やアプリ内課金の売上(2018年6月~2019年5月)に関する分析をお届けします。
モバイルゲーム市場はあらゆる面で絶好調と言えます。ただ、アプリや新たなジャンルが次々と生まれて選択肢に困らなくなったユーザーは、アプリ内課金に散財するのに幾分か慎重になっている様子です。
全体的なゲームアプリのユーザー獲得コストとコンバージョン率
ファネルの入り口においては、ゲームアプリの新規ユーザー獲得コストは平均4.37ドルで、前年(3.75ドル)に比べて約16.5%(0.62ドル)上昇しました。
ファネル中間にあたる登録完了ユーザー獲得のコストは9.17ドルで、前年(6.88ドル)に比べて33.3%上昇しました。ただインストールから登録までのコンバージョン率は 47.1%(前年比6.90%低下しているが)、成果は出ている様子です。ただし、マーケターがこの段階で収集したデータを分析して、ユーザーのリターゲティングとリエンゲージメントに取り組んでいることが条件となります。
ファネルの先になる新規の課金ユーザー獲得までのコストは割高になっている(35.42ドル)。ただ、コンバージョン率は 12.3%で(前年比1.1%低下にとどまる)、キャンペーンをうまく盛り上げたマーケターが成功しているようです。
プレイヤーはiOSやAndroidにお金を落としていますが、ターゲットの市場次第でトレードオフは異なります。リーチを拡大するにはAndroidは1つの選択肢と言えます。調査会社IDCによると、世界のスマホ市場全体の約85%を占めるプラットフォームです。一方でiOSは引き続き売上をけん引していますが、報道などでは失速感が伝えられ、欧州や日本、中国での市場シェアが縮小しつつあるようです。
プラットフォーム別のゲームアプリのユーザー獲得コストとコンバージョン率
インストールまでのユーザー獲得コストは Androidが3.21ドルと、iOSの4.85ドルより低くなっています。
Androidでは、アプリ内課金ユーザー獲得コストは前年比9.9%上昇しました(33.83ドル)。iOSと同じようなレンジでしたが(36.63ドル)、インストールからアプリ内課金に誘導するまでのコストは異なる展開でした。
Androidユーザーのコンバージョン率は1ケタ台まで落ちました(9.5%)。ただ一方で、iOSユーザーにおける低下は激しく(前年の21.0%から13.2%へ)、iOSだけでの課金ユーザー獲得に注力する戦略では成果が出せない流れになりそうです。
マーケターにとっては低コストで高いエンゲージメント率が得られることが成果につながります。こうしたパフォーマンスが見られる月はいくつかありました。
月別のゲームアプリのユーザー獲得コストとコンバージョン率
暦年で年間を通じてエンゲージメント率は2ケタ台でしたが、最低の4月が44.3%、最高の12月が61.3%と変動があります。12月はユーザー登録まで完了するユーザー獲得のコストが7.93ドルまで下がった月でもあります(1月には8.82ドルまで11.2%上昇)。
9~12月、2~3月は、新規ユーザー獲得戦略の諸条件が重なる時期です。すでに獲得したユーザーのリエンゲージメントを目的としている場合は、6~8月、1月、4~5月が適しているようです。
前年に比べると、コストとコンバージョン率のピークと底の変動は緩やかで、季節性が要因として弱くなっているようです。ユーザーは年間を通じてゲームアプリに接するようになっている模様で、チャンスとなる期間は以前より広がっています。
ユーザーが夏休みに入って余暇を楽しむタイミングが、ユーザー獲得の成果が出せる時期となっています。
月月のアプリ内課金ユーザー獲得コストとコンバージョン率
コストとコンバージョン率は7~9月にバランスが絶妙になります。コンバージョン率は2番目の高さで(16.0%)、アプリ内課金ユーザー獲得のコストは27.09ドルの低さになります。
ホリデーシーズンのパフォーマンスは2月にも余韻が残っている様子ですが、エンゲージメント率は4月に衰えます。ホリデーシーズンでは12月が最も高い結果が出せますが、16.2%のコンバージョン率を達成するためのコストは29.94ドルで、9月よりもやや高くなっています。
総じて、前年同月比ではほぼ横ばいとなりました。ただ、エンゲージメント率は低い水準でとどまっており、マーケターはコンバージョン率を上げるような施策に取り組む必要がありそうです。
北米はモバイルゲーム市場の目覚ましい成長の起点となりますが、低コストながらも大きな可能性を秘める国がいくつかあることが分かりました。
国別のゲームアプリインストール件数
ロシアのユーザー獲得コストは2.17ドルで、平均的な市場の中間に位置します。Newzooの予測によると、6,600万人のゲーマーを抱えるロシア市場全体では18億ドルの売上が見込まれます。
中国(1.32ドル)とブラジル(1.42ドル)は注目すべき低コストになっています。足元で世界のモバイルゲーム市場の25%を示す中国は、ゲーマーの数が2018年の5億9,800万人から2023年には7億2,800万人に達する見通しで、さらに存在感を増すはずです。ブラジルは 飛躍的な成長を遂げていますが 、 上の分散はまちまちで、コンバージョンを達成する厳しい取り組みが必要と見られます。
英国(および欧州の大半)のユーザーの間ではモバイルゲームアプリの人気が高まっており、こうした地域でのインストール獲得コストは上昇しそうです(英国は4.25ドル、ドイツは4.08ドル)。
国別のゲームアプリのユーザー獲得コストとコンバージョン率
ブラジルでは、ユーザー登録までのユーザー獲得コストが2.05ドルで、米国(10.7ドル)の5分の1になっています。さらにコンバージョン率は69.3%で、米国の25.6%を上回ります。
ユーザー獲得コストが最も低いのはロシアで、コンバージョン率は56.4%と高くなっています。カナダのコンバージョン率も良好ですが(52.1%)、コストはロシア(3.85ドル)がカナダ(9.83ドル)より60.8%低くなっています。
ドイツ(67.0%)と日本(67.4%)のコンバージョン率は近く、登録までのユーザー獲得コストも1.85ドル差の近さになっています。大きな魅力があるとは言い難いでが、チャンスは感じられる地域です。
ドイツ、英国、ロシアはコストが近くなっていますが、中でも英国が最も低コスト(24.53ドル)で最も高いエンゲージメント率(17.3%)となっており、コンバージョン率はロシア(7.4%)を9.9%上回ります。
ブラジル(33.88ドル)とカナダ(33.43ドル)はコストがほぼ同等ですが、コンバージョン率はカナダ(15.3%)がブラジル(4.2%)の3.5倍になっています。
ミッドコア&戦略系ゲームが幅広く人気を得て洗練度が増している韓国市場のコストは予想通り高くなっています。ユーザー獲得の激しい競争でコストは極めて高くなっており(66.95ドル)、一方でコンバージョン率は5.5%です。成果に比べて投じる資金が膨大になるリスクが感じられます。
サブカテゴリ―ごとにそれぞれオーディエンスがあり、また独自の魅力があります。こうしたニュアンスを理解することが、ユーザーをしっかり捉え、顧客のライフサイクルを伸ばすようなキャンペーン展開につながります。
サブカテゴリ別のゲームアプリのユーザー獲得コストとコンバージョン率
1日目のリテンション率はソーシャルカジノ(32.2%)とハイパーカジュアル(32.7%)が近い数字でトップを走ります。3日目になるとソーシャルカジノがリードし、その勢いは30日目まで維持されます。ソーシャルの魅力と勝ち負けの要素があるゲームプレイのコンビネーションでユーザー再訪に繋がりやすくなっています。
ミッドコア&戦略系のリテンション率は1日目に28.5%とスロースタートですが、徐々にスピードアップします。14日目のリテンション率は5.2%で、カジュアルゲーム(5.4%)とほぼ同等の3番手になります。
7日目、そして14日目に、カジュアル、ハイパーカジュアル、ミッドコア&戦略系のリテンション率の差は大幅に狭まります。当初のゲームの魅力を再びプレイヤーに伝えようとするキャンペーンやメッセージへの反応がどのカテゴリのオーディエンスも同じ程度であると考えられます。
Empires & Allies, War Machines: 3D Tank Games, War Robots, Vikings: War of Clans, Narcos: Cartel Wars and Game of Thrones: Conquest.
ミッドコア&戦略系ゲームアプリのユーザー獲得コストとコンバージョン率
ミッドコア&戦略系ゲームのユーザー獲得競争は過熱していますが、CPIは3.81ドルとまずまずです。
アプリ内課金ユーザー獲得のコストは35.79ドルでやや割高感がありますが、2ケタ台のコンバージョン率はこれに見合う成果と言えそうです。
総じて、低コストで獲得できるユーザー層ではありませんが、夢中に慣れるゲームプレイのために時間やお金を投じることに消極的ではありません。
Apptopiaのデータによると、ミッドコア&戦略系ゲームアプリの世界のダウンロード件数は1億9,202万2,661件で、アプリ内課金の売上は56億4,466万7,096ドルとなています。
コストは低下し、コンバージョン率はファネルを通じて安定しています。
インストールからアプリ内課金までの獲得コストは2017年の95.39ドルから本レポートのタイミングでは35.79ドルまで大幅に低下しています。登録までのコストは72.0%増の10.61ドルでハードルの高さがうかがえます。
インストールからアプリ内課金までのコンバージョン率は3.2%ポイント低下の10.6%となっています。前年は13.8%でした。
ミッドコア&戦略系ゲームアプリユーザー獲得コストとコンバージョン率の前年比推移
ミッドコア&戦略系ゲームアプリの地域別のCPI
EMEAは登録獲得コストが8.02ドルと最も低く、インストールから登録までのコンバージョン率は最も高くなっています(77.4%)。コストが2番目に低いAPAC(9.97ドル)との差は1.95ドル(19.6%)です。ただ、EMEAはコンバージョン率がAPACの2倍超になっています。
ファネルの先に行くと、EMEAのコストパフォーマンスはさらに良くなります。アプリ内課金ユーザー獲得コストは33.87ドルで割安とは言い難いかもしれませんが、APAC(46.41ドル)を27.0%下回り、コンバージョン率はAPACと北米をそれぞれ10.5%上回っており、リターンは高いと言えます。
ミッドコア&戦略系ゲームアプリの登録ユーザー・課金ユーザー獲得コストとコンバージョン率
米国のCPIは4.34ドルで、北米地域(4.47ドル)に比べて2.9%低くなっています。ただ、登録ユーザー獲得コスト(13.85ドル)は北米地域(12.89ドル)を7.5%上回っています。
残りの北米の国については、アプリ内課金ユーザー獲得コストは地域の水準を小幅に上回っていますが、コンバージョン率の高さでバランスが取れています。
インストールからアプリ内課金獲得までのコンバージョン率(11.6%)は北米地域全体(7.8%)を上回ります。
米国のミッドコア&戦略系ゲームアプリのユーザー獲得コストとコンバージョン率
Apptopiaのデータによると、ミッドコア&戦略系ゲームアプリの米国でのダウンロード件数は4,320万415件で、アプリ内課金の売上は4億9,305万2,301ドルです。
ミッドコア&戦略系ゲームアプリのリテンション率
1日目のリテンション率は28.5%で、スタート時点からユーザーを夢中にさせる必要のあるサブカテゴリです。
リテンション率は徐々に下がりますが、激しい低下はありません。
3日目から7日目、14日目にかけてのリテンション率の低下を踏まえると(8.6%付近を推移)、適切なメッセージでタイムリーにキャンペンーンを打ち出すことがユーザー回帰に繋がると考えられます。
各地域でスタート時からリテンション率は高くなっていますが、特に北米とEMEAがそれぞれの段階でユーザーを強く維持できています。
APACもリテンション率は良好ですが、ユーザー獲得コストやほどほどのコンバージョン率を踏まえるとその魅力は薄れます。
ミッドコア&戦略系ゲームアプリの地域別のリテンション率
国別ではドイツが1日目で32.8%、続いて英国が31.8%の高いリテンション率になっています。日本も20.8%と良好な数字です。この順番でのリテンション率の高さが日目から30日目まで続きます。
日本のユーザーのロイヤルティの高さの背景には、ファイナルファンタジーなどのようにシリーズが多数存在するミッドコアの「強い親和性」( ewzooによる)があるようです。
低コストが魅力のブラジルは、あらゆる段階でリテンション率が低位にとどまっています。
ミッドコア&戦略系ゲームアプリの国別のリテンション率
Trivia Crack, Gardenscapes, Magic Jigsaw Puzzles, Seekers Notes and Bubble Birds.
カジュアルゲームアプリのユーザー獲得コストとコンバージョン率
パズルゲームだけで2018年の売上は前年比34.0%増の38億ドルでした。一方でアーケードゲームは同年、前年比ほぼ倍増の19億ドルの売上を記録しました
ユーザーコストは魅力的で、ファネルの先までの誘導もしやすくなっています。
最も難しいステージとなるユーザー登録にもスムーズに進み、インストールから登録までのコンバージョン率は43.0%と魅力的です。
アプリ内課金ユーザー獲得コストは30.05ドルと割安とは言えませんが、コンバージョン率は2ケタ台と良好です。プレイ継続を促すリワードやインセンティブ、広告へのオーディエンスの反応も全体的に良好です。
Apptopiaのデータによると、世界のカジュアルゲームのダウンロード件数は2億4,944万8,679件で、アプリ内課金の売上は30億4,639万877ドルです。
カジュアルゲームアプリのユーザー獲得コストとコンバージョン率の前年比推移
コストとコンバージョン率はまちまちの内容です。インストール獲得コストは前年比0.10ドル(3.2%)増の3.22ドルでほぼ横ばいです。
登録ユーザー獲得コストは前年比11.7%低下しました。インストールから登録までのコンバージョン率は16.9%上昇して43%となっています。
ユーザーの財布の紐は堅いようです。アプリ内課金獲得コストは11.1%上昇して30.05ドルとなっています。ただ、コンバージョン率は10.7%で、7.0%の低下にとどまりました。
カジュアルゲームアプリの地域別のCPI
EMEAのCPIは2.79ドルと最も低いですが、その成果はどうでしょうか?調査によると
、カジュアルゲームのダウンロード数ではAPACが常にトップとなっています。
北米のユーザーのカジュアルゲームへのロイヤリティも高くなっています。それを裏付けるように、CPIは最も高くなっています(APACを8.0%、EMEAを40.1%それぞれ上回る)。
カジュアルゲームアプリの登録ユーザー・課金ユーザー獲得コストとコンバージョン率
ユーザーの熱狂度が高いのはEMEAのようです。低コスト(5.34ドル)で最も高いコンバージョン率(66.2%)となっています。ただファネルの先に進むと、コンバージョン率は8.8%の最低まで下がります。
カジュアルゲームの人気が最も高いAPACでは、ファネルの初期の段階でコストが高くなっています(オーディエンス獲得の競争でコストにノックオン効果が発生)。
ただ、北米(32.87ドル)を小幅に、EMEA(39.95ドル)を16.1%それぞれ上回るだけのコストで、アプリ内課金獲得までのエンゲージメント率は最も高くなっています(15.6%)。アップフロントでの投資の価値はありそうです
日本は、韓国、ロシア、米国に比べて最もコンバージョン率が高くなっています。ただ、コストも5.35ドルと最も高く、韓国の1.6倍、ロシアの5倍となっています。
日本のカジュアルゲームアプリのユーザー
獲得コストとコンバージョン率
Apptopiaによると、日本のカジュアルゲームのダウンロード件数は1,800万3,649件で、アプリ内課金の売上は9億4,4 57万2,705ドルです。
韓国は成果を出しにくい国となっています。CPIはまずまずですが(3.36ドル)、アプリ内課金ユーザー獲得コスト(65.95ドル)は米国(34.18ドル)とロシア(34.19ドル)のほぼ倍です。コンバージョン率は1ケタ台と低く(5.1%)、厳しい成熟市場と言えます。
韓国のカジュアルゲームアプリのユーザー
獲得コストとコンバージョン率
Apptopiaのデータによると、韓国のカジュアルゲームのダウンロード件数は321万7,115件で、アプリ内課金の売上は2,351万1, 923ドルです。
ロシアのCPIは最も低い1.09ドルです(米国を73.0%、日本を79.6%それぞれ下回る)。インストールから登録までのコンバージョン率は89.5%と極めて高いものの、インストールからアプリ内課金までのコンバージョン率は3.2%の最低となっています
ロシアのカジュアルゲームアプリのユーザ
ー獲得コストとコンバージョン率
Apptopiaのデータによると、ロシアのカジュアルゲームアプリのダウンロード件数は851万2,406件で、アプリ内課金の売上は1,615万5,444ドルです。
米国市場は、多くのファネルにおいて日本と似ています、コンバージョン率は数%ポイント差ですが、米国のほうがコストに割安感があります。アプリ内課金ユーザー獲得コスト(34.18ドル)は日本(44.53ドル)を23.2%下回るだけです。
米国のカジュアルゲームアプリのユーザー
獲得コストとコンバージョン率
Apptopiaのデータによると、米国のカジュアルゲームのダウンロード件数は7,819万44件で、アプリ内課金の売上は11億669万974ドルです。
カジュアルゲームアプリのリテンション率
ユーザーの興味を引きつける魅力のあるカジュアルゲームの1日目のリテンション率は良好です(30.9%)。
3日目にはリテンション率は15.1%まで約50%下がります。適切なキャンペーンや魅力的なインセンティブでユーザーの興味を再び押し上げる必要があるタイミングと言えます。
総じて、リテンション率は徐々に下がり続け、3日目から7日目では6.1%ポイント低下、14日目にはその半分(3.6%ポイント)の勢いで低下が続いています。マーケターはアプローチの有効性を調べ、オーディエンスのリエンゲージメントを促すような施策を特定するべき流れです。
1日目のリテンション率は全ての地域で良好なスタートを切りますが、あらゆる段階で最もリテンション率が高いのは北米です。
3日目以降は、EMEAのリテンション率が2番目に高く、米国との差は平均1.7%程度です。ただ、Liftoffのデータをさらに過去まで遡ると、EMEAでのリテンション率押し上げの取り組みの成果はパフォーマンスがあまり良くありません。また、プレイヤーはアプリ内課金に消極的な傾向があります。
APACとLATAMの1日目のリテンション率の差はわずか2%ポイントで、その後も30日目まで同じ傾向が続きます。
カジュアルゲームアプリの地域別のリテンション率
カジュアルゲームアプリの国別のリテンション率
日本のリテンション率は期間中一定して高く、30日目のリテンション率は5.4%です(2番手の4.3%のドイツとカナダを25.6%上回る)。
カジュアルゲームのリテンション率が急低下するのはブラジルです。あらゆる段階でリテンション率が低く、30日目にはわずか2.0%まで下がります。
米国とカナダのカジュアルゲームの需要は良好な様子です。ただ、カナダの方がやや米国を上回り、30日目では米国が英国と並んで3番手に付けています(3.8%)。
Stack Ball, Run Race 3D, Traffic Run, Color Bump 3D, Clean Road and Love Balls.
広告を主な収益源とするハイパーカジュアルゲームは、アプリのダウンロード件数の半数以上を占め、2017年以降、いくつかの高額の買収案件にも繋がっています。Ubisoftは、保有タイトルが 月間2,300万人の新規ユーザーを獲得. しているというKetchappを買収しました。Zyngaは2018年にGram Gamesを2億5,000万ドルで買収しました。米投資銀行ゴールドマンサックスはハイパーカジュアルゲームのビジネスチャンスを確信し、同年にVoodooに2億ドルの投資を行いました。
大量のマネーが流れ込み、ハイパーカジュアルゲームが次々と誕生していますが、競合がひしめく中で競争は激化しそうです。ただアップサイドもあります。広告を主な収益源とするモデルのため、収益と市場規模が互いに関連します。このカテゴリの幅広い調査によると、ハイパーカジュアルゲームアプリのユーザーは平均して、ほかのカテゴリのユーザーに比べて 動画広告を2倍の4.8件視聴しています。
また、ハイパーカジュアルゲームはカニバリゼーションに繋がってはおらず、むしろ新たなオーディエンスを生み出しています。App Annieによると、世界的にハイパーカジュアルゲームは 「自らをゲーマーと自覚しない人々にも広がっている」ようです。同社のランキングトップゲームの分析によると、ハイパーカジュアルゲームはあらゆる市場でダウンロード件数の上位を占めており、継続性と可能性が感じられるカテゴリになっています。
Apptopiaのデータによると、世界のハイパーカジュアルゲームのダウンロード件数は6億2,789万3,873件で、アプリ内課金の売上は5,324万1, 653ドルです。
App Annieは、ハイパーカジュアルゲームは急速に成長していると言います。「デジタル広告を収益源とするような手軽なゲームを低コストで開発したいパブリッシャーにとってまたとないチャンス」だと指摘しています。
ハイパーカジュアルゲームを分析すると、継続的な成功が見通せるいくつかの要素が判明します。
最低限の設計で、開発が容易でローカライズがやりやすい。
ゲームの仕組みを難しく理解する必要がなく、何も考えなくてよい娯楽に焦点が絞られている。
ソフトローンチを英語圏だけに限る必要がなく、最初からグローバルでプレイ可能になっている(人気も出る)
こうした背景から、ハイパーカジュアルゲームがアプリストアで最も収益性の高いサブカテゴリになっているようです。では、低コストでユーザーの高いエンゲージメントが得られるのはどの市場でしょうか?
マーケター向けの分析ツールを提供するTenjinの直近の調査で、条件が良いいくつかの国が指摘されています。あるケースでは、ほかのゲームカテゴリに比べてCPIが10分の1になる場合もあります。
国別のAndroidとiOSの平均CPI
ソフトローンチにあたって最もコストパフォーマンスの高い市場を特定しようとするTenjinのレポートによると、プラットフォーム別のCPIデータに基づくと、コロンビアがいずれのプラットフォームでもパフォーマンスが高くなっています。アルゼンチン、マレーシア、イスラエル、インドネシアが同様のCPIとなっています。iOSでは、ブラジル、ロシア、米国、日本を抑えてトルコが2番目にCPIが低くなっています。
ハイパーカジュアルゲームアプリのリテンション率
1日目のリテンション率は32.7%で、全てのサブカテゴリーの中で最高です。業界関係者の一部では、ハイパーカジュアルゲームは1日目のリテンション率が40%を超えればまず成功と見なせると言われています。
ハイパーカジュアルゲームのライフタイムは元々短く、主な収益源は広告です。したがって、オーディエンスが長く維持される必要はありません。このため、7日目からリテンション率は急低下しますが、これが問題とはなりません。
マーケターにとってのゴールは、オーディエンスからできる限り収益を引き出し、ロイヤリティを長引かせることでしょう。一方で、タイトルが次々と誕生しては消えていくハイパーカジュアルのようなカテゴリではこれは難しいことです。AppsFlyerのContent & Mobile Insightsのヘッドを務めるShani Rosenfelder氏は、「『手軽さ』が売りで短いゲームループのハイパーカ
ジュアルゲームのリテンション率が低いのは自然なことです」と語っています。したがって、ユーザーは数日経てばゲームを削除して次のゲームへの興味を移します。「ROAS(広告の費用対効果)を短いスパンで定めて、ユーザー獲得に予算を投じて、様々な広告枠で積極的にマネタイズするのが妥当でしょう」とRosenfelder氏は指摘し、「これが成功している戦略です」と述べています。
また、リテンション率が少し上がるだけで(平均的なユーザー維持の日数を1~2日超えるだけでも)、「キャッシュフローが即座に増え、広告視聴が延びて、ユーザー獲得とマネタイズのポジティブなサイクルが生まれます」とRosenfelder氏は述べています。「特に、7日目のタイミングで(リテンション率が8.8%から30日間には2.3%まで急低下し始めるタイミング)、ゲームの仕組みに基づいてユーザーの興味を駆り立てるような強力なキャンペーンやメッセージが打ち出されれば、良い結果が得られるはずです」と言います。
ハイパーカジュアルゲームの地域別のリテンション率
北米のリテンション率は一定して高い。
EMEAのリテンション率は2番目に高く、1日目は32.9%(北米を1.2%下回り、LATAMを2.5%上回る。ハイパーカジュアルゲームの人気が高い地域の1つ)。
APACのリテンション率は常に低く。1日目から7日目の間に約75%低下し、14日目までにはさらに10%低下する。
ハイパーカジュアルゲームの国別のリテンション率
日本と米国のユーザーのエンゲージメントが期間を通じて高く、ほかの国のユーザーの興味が薄れる30日目でも良好。
ドイツと米国が大半の段階で拮抗しており、30日目にはリテンション率が3.2%になって米国を8.6%下回る。
韓国ユーザーを保持するのは難しさを伴う様子。1日目ですら、上位の米国と日本を平均16.3%下回る。1日目から3日目でリテンション率は13.4%まで落ち、30日目には83.6%低下して2.2%になる。
Liftoffはパフォーマンスベースのモバイルアプリ マーケティングとリターゲティングのためのプラット フォームです。インストール後のユーザーデータ を 活 用し 、ユ ー ザ ー 獲 得 お よ び リ エ ン ゲ ー ジ メントキャンペーンを実施します。高度な機械 学習を活用したLiftoffのキャンペーンによって、 商品の購入やサブスクリプションの更新など、 インストールを超えたアクションを最適化します。 Liftoffのアクション単価モデルは、収益が発生するイベントに積極的に投資するユーザーを 獲得することで、アプリマーケターを支援します。 カルフォルニア州パルアルトに本社、ニューヨーク、 サンフランシスコ、ロンドン、シンガポール、東京、 ソウル、パリにオフィスを構え、世界の最先端の アプリ提供企業やブランドを相手にビジネスを 展開しています。